タイミング

皆それぞれのいい頃合いがある
ベストタイミングというヤツだ
ところが自分が望むベストタイミングと
相手の望むベストタイミングが噛み合わない時がある
急にじゃんけん大会が始まり
私は最後の一人となった
主催者からプレゼントがあると言う
どれを選ぼうか品物を見渡したら間髪入れずに急かされた
早く選べとばかりに急かしてきた男
直線的に強く押し出す手とは裏腹に
その指はカクカクガクガク震えていた
緊張からなのか?
自分のペースを乱された動揺からなのか?
結局、私は選んだ品物を家に持ち帰らなかった
それを欲しがっていた人に
「良かったら受け取って欲しい」と言って差し出した
少年は数秒考えたのち、手を伸ばし受け取ってくれた
(少年のことはずっと視界に入っていて何か気にかかる存在だった)
自分がその品物をゲットできたからこそ
それを必要としている人に渡すことができたのだと思った
橋渡し
それがじゃんけん大会での私の役目だったようだ
手から手へ
優しく渡され優しく渡したい
準備ができていない人を焦らせず
互いのタイミングの良きときをはかり合えたらと思う