悲しんぼ(物語り)

湧いてくる感情

グゥッと

押し込めた。

 

 

悲しんぼは

気を利かせて

大人しくした。

 

 

後からうんと

可愛がってもらおう!!

 

 

ところが

いつまでたっても

放っておかれた。

 

 

忘れたの?

 

 

嫌いなの?

 

 

無かったことにしたいの?

 

 

 

そんなのあんまりだ!

 

 

 

悲しみ

さらに悲しみを生み

 

 

友達の

悲しんぼが生まれた。

 

 

 

チャンス到来!!

 

 

 

友達の悲しんぼと

合体して

一緒に抱きしめてもらおう。

 

 

 

ところが

なんてことだ!

 

 

またしても

悲しんぼは

スルーされてしまった。

 

 

 

悲しんぼの気持ちを

真っ先に

抱きしめて欲しい人に

この気持ちが届かない。

 

 

悲しんぼは

動きを止めた。

 

 

あきらめて

塞ぎ込んでしまった。

 

 

 

悲しいって

泣いていることに

気づいて欲しい。

 

 

悲しいって

気持ちを認めて欲しい。

 

 

何も

困らせたいわけじゃない。

 

 

ウキウキちゃんや

るんるんちゃんや

プンプンちゃんみたいに

 

 

ただ

感じて欲しいだけなのだ。

 

 

 

どうやら

自分自身のこととなると

 

 

悲しんぼを

グゥッと

押さえ込む

癖があるようだ。

 

 

 

なるほど!

そういうことか!!

 

 

 

何も悲しんぼが

嫌いなわけではない。

 

 

 

自分のことで

悲しむわけにはいかないのだ。

 

 

 

強くあろうとする想いが

悲しみを

遠ざけたのだ。

 

 

 

悲しんぼは

その想いを知り

 

 

 

悲しくもなり

愛しくもなった。

 

 

 

その時

 

 

 

悲しんぼの気持ちが

ユウタに届いた。

 

 

 

ユウタの目から

すうっと涙がこぼれた。

 

 

 

頑なだった

ユウタの心が

開いた瞬間だった。

 

 

 

悲しんぼは

ユウタに抱きしめられ

ひとつになった。

 

 

 

ユウタは

悲しみを

認めることで

 

 

本当の強さに

気づき

はじめるのだった。